2007年01月10日

外壁の最低の性能値(K値)はどの程度にすべきか

ダイワハウスは、オリジナルな外張り断熱通気システムによる「ジーヴォ」を開発しましたと、テレビで自慢げにPRしている。

鉄骨造にしろ、スチールハウスにしろ、鉄は熱伝導率が高くてヒートブリッジとなるから、柱の外側で断熱しないと無意味なことは子供でも知っている。
いまさら外張り断熱通気システムを開発しましたと言われても「ずいぶんモタモタしていましたね」と相槌を打つしかない。

そして、外張りの高密度グラスウールボードの厚みはたいしたことがなく「充填断熱と合わせると素晴らしい省エネ性を達成した」と言うのだが、そのK値やQ値、C値については一切触れていない。
抽象的な美辞麗句が並んでいるだけ。
いつものとおりのお話。

今、日本で一番手軽に外壁のK値が0.27Wを達成出来る手法として広く採用されているのが、206の壁に熱伝導率0.038Wの高性能グラスウール14cmを充填する方法。
この高性能グラスウールを熱伝導率0.034Wの現場発泡のウレタン13cmに変えると、K値は0.26Wを達成することが出来る。

外断熱だと、熱伝導率が0.02Wと飛び抜けた高性能のネオマフォームなどを、6cmの厚物を使って、やっとK値は0.28Wにすぎない。

したがって、セキスイハイムの204のユニット住宅は、かなりの部分がグランツーユーなどの206に変わってきている。
スーパーウォールも北海道では206のスーパーシェルになってきている。

そして、東北地域や関東地域の代表的な地場ツーバィフォービルダーは206が標準仕様化してきている。そして先進的な消費者は、全国的に206の壁をビルダーに求めてきており、自発的に性能をアップしているところが増えている。
こうしたビルダーが沢山居ることを、ダイワハウスさんはご存じないようだ。

次世代省エネ基準が求めているV、W地域の外壁のK値は0.45Wと考えてよい。
ダイワハウスはこれを突破したから鼻高々。
しかし、206を標準仕様としているセキスイハイムや地場ビルダーは次世代基準より70%近くも高性能の0.27Wをとっくに達成している。
私は、この0.27WというK値こそ、日本の全ての住宅の最低基準にすべきだと確信している。

今年の新年早々に、アルメンプランの森社長から「スウェーデンでは拘束力のある新しい住宅の省エネ基準を考えているようですよ。内容はまだよく分からないが・・・」という情報をいただいた。
何かがあると考えていたら、今朝の日経の一面に「温暖化ガスの1990年比の削減目標を、EUでは2020年に20%に上げる」というニュースが掲載されている。

日本では6%の削減どころか、民生部門ではすでに28%も増加している。それに対して、大手プレハブメーカーと全建総連の鼻息をうかがっている住宅局は、何一つ有効な対策を打ち出そうとしていない。住宅局は役人の権益を守ることしか考えていない守旧派の集合体に成り下がってしまった。
こんな役所は、もういらない。リストラの対象。

次々世代省エネ基準の外壁のK値は0.27Wであるべき。しかも、強制力を持った建築基準法として打ち出すべき。

さて、ツーバィフォーは206に切り替えればいい。
そして、出来ることなら、日本の林業や木材加工業者の協力を得て、国産材で206のランバー材を確保してゆきたい。
これが軌道に乗れば、日本の住宅の耐震性、省エネ性とともに国産材の活用の道が一途に拡がる。カナダの内陸の製材工場を見ると、日本のカラマツや杉よりも細い小径木から206や204のキルンドライ材を生産している。
ツーバィフォーのビルダーは、これからはこうした地場の206の国産材業者を育成してゆく義務があるのだと考えて頂きたい。

一方、木軸の方は10.5cm角(3.5寸角)の剛金物工法の駆体一杯に高性能グラスウールを施工する。そして、外側に国産材の合板を張る。その上に4cm厚の防火性能を持った木質チップで作ったエコボードか、あるいはMKブラケットを用い5cm厚以上の防火性の
あるロックウールを採用してゆく。
そうすると、これまた0.27WのK値が簡単に得られる。
この充填断熱プラス外断熱が、木軸の場合は防火性、経済性、耐震性などの面で最有力ではなかろうか。
しかし、生産性は206にはかなわない。

正直な話、私は鉄筋コンクリート造と鉄骨造を除いては・・・つまり木造においては、外断熱採用の必要性と意義をほとんど感じてこなかった。
しかし、昨年暮れに札幌のツーバィフォー仲間から、MKブラケットを用いて充填断熱の外側にロックウールを使用することの意義を教えてもらった。

つまり、206の充填断熱以上の性能を求められると、外側に胴縁を組んで露断などの固いボードを施工するのが常だった。
ところが、札幌のような密集地で火事があると、隣家のサイデングの下の防火性能の乏しい露断や硬質プラスチック系統の断熱材は変形したり燃えたりの被害が目立つようになったという。
したがって、防火性能の高い208を選ぶか、MKブラケット+ロックウールが正解だという。

この意見の正否はわからない。
しかし、充填断熱か外断熱かという陳腐な議論の時代はとっくに過ぎ去った。
ツーバィフォーは206から208への展開が可能だが、木軸は充填+外断熱か、あるいは充填+内断熱しか選択の余地がない。

そして、外断熱のみに拘っている業者は、早晩消え去っていただくしかない。
また、ダイワハウスの自慢タラタラのPRは、お互いに無視することにしましょう。
posted by unohideo at 22:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 省エネとサステナブル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月05日

「無暖房住宅」のテレビPRが始まった

お正月にテレビをつけていたら「無暖房住宅」という言葉が耳に飛び込んできた。開発した会社の名を「サンワホーム」という。「三和ホーム」ではない。

今から十数年前まで、ツーバィフォー協会の理事会社に二社の三和ホームが存在した。
一社は、社長が茨城の三和町出身の三和ホーム。建設省住宅局からO専務が出向していたが、内容はかなりいかがわしい会社。オタワでの第1回R-2000住宅会議に専務と一緒に参加したが、高気密住宅に関心がなく、案の定ほどなく倒産。

もう一社は殖産、太平、電建につぐ月販住宅三和建物の子会社の三和ツーバィフォー工業。この会社にも住宅局から常務が出向していた。
この三和ツーバィフォーは、社内に日本で初のフレーマー学校を設立し、若手大工の育成という面では先進的な区割りを果たしてくれた。単なる叩き大工の養成ではなく、規矩術までもきちんと教える本格的なものだった。
このように、工事面では優れた会社ではあったが、商品開発力が伴わず、これまたR-2000住宅に本格的にトライすることなく消え去ってしまった。

そんなわけで、昨年秋に山梨で無暖房住宅にトライしているサンワホームがあると聞いた時、かつての三和との関係がまず気になった。
同社の設立は1988年。二社の三和と入れ違いで設立。そして、ツーバィフォーではなく木曾桧を中心とした木軸の業者。
資本金は約2億円で、従業員は約300人。
商圏は仙台以南の東北、関東、中部、北信越を中心に19都県に及んでいる。
東京でのテレビ放映の意味が納得出来る。

http://www.sanwah.co.jp/の「ハイパーエコ」をアクセスすると、同社の無暖房のおおよそが分かる。

ます、ハイパーエコに0.7、1.0、1.3、1.6の4種類がある。Q値が0.7、Q値1.0、Q値1.3、Q値1.6のことらしい。
ところがハイパー0.7というのは、40坪の住宅での計算例で、Q値0.7Wから0.95Wm2hの範囲を指すらしい。0.7Wの性能値を担保しているというのではないらしい。この表現はいささか気になる。
真面目さが足りないという気がする。

売り出している商品に四種類の性能値があるということは常識外れ。私のささやかな経験では二種類が限度。でないとクレームが多発する。
消費者志向型とは言いかねる。
最高級の外壁は、フェノールフォーム60mm+60mm+50mm=170mm。天井がフェノールフォーム60mm+グラスウール500mmというものすごさ。

表示されている気密性能は0.47cm2と中途半端。平均値が0.47cm2ということなのか、たまたま測定した無暖房住宅がそうだったということなのか。
気密性能は、世界の常識として最低保障性能を表示するのが決まり。R-2000住宅では0.9cm2以下とした。そして、ビルダーによっては平均値が0.4cm2以下というものもあれば0.3cm2以下というものもあった。

そして、ハイパーエコ0.7であっても、そのシミュレーションによると僅かだが冬期に暖房費を必要としている。夏期の冷房費はいたしかたないにしても補助暖房を必要としているものを「無暖房住宅」というわけにはゆかない。
「看板に偽り」がある。

信州大学工学部には温熱や空気質の専門科がない。このため音響が専門の山下恭弘教授を担ぎ出してSAHの会(信州の快適な住まいを考える会)を組織し、20社の有力な地場ビルダーが参画して熱心な勉強会を継続している。
このため、山下教授は今で温熱関係ではトップクラスの実績を持っていると言われている。

このSAHの会が、ハンスさんの講演を聴いて無暖房住宅にのめりこんで行った。無暖房住宅では、長野が全国でトップを走っているというのには、こうした背景がある。
だが、先行しているホクシンハウスのシミュレーションを見ても、400mmという厚いセルローズファイバーを外壁に使いながら完全に無暖房とはいえない。もちろん無冷房ではない。
だが、無暖房という言葉が先行し、これが目的であるかのようなおかしげな現象が生まれている。

ハンスさんの言っていることを再確認しょう。
スウェーデンでは、最新の住宅ではサッシのU値が1.3W、外壁のU値が0.2W程度が常識になってきている。それなのに、各家にパネルヒーター暖房が必需品として入っている。
このパネルヒーターの設置費はスウェーデンでは80万円程度と安い。その80万円のパネルヒーター投資を省き、サッシに30万円投資してU値1.0Wの性能を得る。また断熱材に30万円余分に投資してU値0.17Wの外壁を得る。さらに20万円余分に投資し、第三種換気をやめて熱回収85%の顕熱交換機を導入する。

つまり、今までと同じ投資で無暖房の住宅を入手出来れば、毎月のランニングコストが不要になり、家計にも地球にも優しくなれるというコンセプト。
この基本コンセプトが忘れられてはいまいか。

つまり「無暖房」という恰好の宣伝文句でお客を惹きつけ、稼ごうという商売根性があまりにも見え見え。
実質は「無暖房」でないのに「無暖房」を名乗るというのは羊頭狗肉。消費者を裏切る行為。

このほか「6面輻射冷暖房」とか「地下の汚れた空間を通す全熱交換システム」など、専門家から疑問符がつくような記述が目立つ。

私は決して長野の仲間やサンワホームを貶したり、揚げ足をとろうとしているのではない。その勇気ある行動は積極的に支持している。
しかし、だからといって消費者を騙すような行為が少しでもあれば、かつての雪印や三菱自動車のように消費者から強烈なパンチを見舞うことになりかねない。

「好漢自重あれ」と切望したい。
posted by unohideo at 22:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 省エネとサステナブル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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