2007年01月05日

「無暖房住宅」のテレビPRが始まった

お正月にテレビをつけていたら「無暖房住宅」という言葉が耳に飛び込んできた。開発した会社の名を「サンワホーム」という。「三和ホーム」ではない。

今から十数年前まで、ツーバィフォー協会の理事会社に二社の三和ホームが存在した。
一社は、社長が茨城の三和町出身の三和ホーム。建設省住宅局からO専務が出向していたが、内容はかなりいかがわしい会社。オタワでの第1回R-2000住宅会議に専務と一緒に参加したが、高気密住宅に関心がなく、案の定ほどなく倒産。

もう一社は殖産、太平、電建につぐ月販住宅三和建物の子会社の三和ツーバィフォー工業。この会社にも住宅局から常務が出向していた。
この三和ツーバィフォーは、社内に日本で初のフレーマー学校を設立し、若手大工の育成という面では先進的な区割りを果たしてくれた。単なる叩き大工の養成ではなく、規矩術までもきちんと教える本格的なものだった。
このように、工事面では優れた会社ではあったが、商品開発力が伴わず、これまたR-2000住宅に本格的にトライすることなく消え去ってしまった。

そんなわけで、昨年秋に山梨で無暖房住宅にトライしているサンワホームがあると聞いた時、かつての三和との関係がまず気になった。
同社の設立は1988年。二社の三和と入れ違いで設立。そして、ツーバィフォーではなく木曾桧を中心とした木軸の業者。
資本金は約2億円で、従業員は約300人。
商圏は仙台以南の東北、関東、中部、北信越を中心に19都県に及んでいる。
東京でのテレビ放映の意味が納得出来る。

http://www.sanwah.co.jp/の「ハイパーエコ」をアクセスすると、同社の無暖房のおおよそが分かる。

ます、ハイパーエコに0.7、1.0、1.3、1.6の4種類がある。Q値が0.7、Q値1.0、Q値1.3、Q値1.6のことらしい。
ところがハイパー0.7というのは、40坪の住宅での計算例で、Q値0.7Wから0.95Wm2hの範囲を指すらしい。0.7Wの性能値を担保しているというのではないらしい。この表現はいささか気になる。
真面目さが足りないという気がする。

売り出している商品に四種類の性能値があるということは常識外れ。私のささやかな経験では二種類が限度。でないとクレームが多発する。
消費者志向型とは言いかねる。
最高級の外壁は、フェノールフォーム60mm+60mm+50mm=170mm。天井がフェノールフォーム60mm+グラスウール500mmというものすごさ。

表示されている気密性能は0.47cm2と中途半端。平均値が0.47cm2ということなのか、たまたま測定した無暖房住宅がそうだったということなのか。
気密性能は、世界の常識として最低保障性能を表示するのが決まり。R-2000住宅では0.9cm2以下とした。そして、ビルダーによっては平均値が0.4cm2以下というものもあれば0.3cm2以下というものもあった。

そして、ハイパーエコ0.7であっても、そのシミュレーションによると僅かだが冬期に暖房費を必要としている。夏期の冷房費はいたしかたないにしても補助暖房を必要としているものを「無暖房住宅」というわけにはゆかない。
「看板に偽り」がある。

信州大学工学部には温熱や空気質の専門科がない。このため音響が専門の山下恭弘教授を担ぎ出してSAHの会(信州の快適な住まいを考える会)を組織し、20社の有力な地場ビルダーが参画して熱心な勉強会を継続している。
このため、山下教授は今で温熱関係ではトップクラスの実績を持っていると言われている。

このSAHの会が、ハンスさんの講演を聴いて無暖房住宅にのめりこんで行った。無暖房住宅では、長野が全国でトップを走っているというのには、こうした背景がある。
だが、先行しているホクシンハウスのシミュレーションを見ても、400mmという厚いセルローズファイバーを外壁に使いながら完全に無暖房とはいえない。もちろん無冷房ではない。
だが、無暖房という言葉が先行し、これが目的であるかのようなおかしげな現象が生まれている。

ハンスさんの言っていることを再確認しょう。
スウェーデンでは、最新の住宅ではサッシのU値が1.3W、外壁のU値が0.2W程度が常識になってきている。それなのに、各家にパネルヒーター暖房が必需品として入っている。
このパネルヒーターの設置費はスウェーデンでは80万円程度と安い。その80万円のパネルヒーター投資を省き、サッシに30万円投資してU値1.0Wの性能を得る。また断熱材に30万円余分に投資してU値0.17Wの外壁を得る。さらに20万円余分に投資し、第三種換気をやめて熱回収85%の顕熱交換機を導入する。

つまり、今までと同じ投資で無暖房の住宅を入手出来れば、毎月のランニングコストが不要になり、家計にも地球にも優しくなれるというコンセプト。
この基本コンセプトが忘れられてはいまいか。

つまり「無暖房」という恰好の宣伝文句でお客を惹きつけ、稼ごうという商売根性があまりにも見え見え。
実質は「無暖房」でないのに「無暖房」を名乗るというのは羊頭狗肉。消費者を裏切る行為。

このほか「6面輻射冷暖房」とか「地下の汚れた空間を通す全熱交換システム」など、専門家から疑問符がつくような記述が目立つ。

私は決して長野の仲間やサンワホームを貶したり、揚げ足をとろうとしているのではない。その勇気ある行動は積極的に支持している。
しかし、だからといって消費者を騙すような行為が少しでもあれば、かつての雪印や三菱自動車のように消費者から強烈なパンチを見舞うことになりかねない。

「好漢自重あれ」と切望したい。
posted by unohideo at 22:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 省エネとサステナブル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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